Ⅲ-1.栄養バランスのケア
カルシウム
強い骨や筋肉を作るのに不可欠です。胃手術後にビタミンDの消化・吸収が低下することによってカルシウムの消化・吸収も悪くなり、骨が弱くなりがちです。
乳製品や消化がよい小魚などで、カルシウムを不足しないように補いましょう。
亜鉛
細胞の合成(細胞分裂を正常に行なって新しく細胞を作ること)に必要な栄養素であり、手術後の傷の回復期には特に補いたい栄養素です。また、亜鉛が不足すると味覚異常が起こりやすくなります。食事の量が少なくなる時期は特に、カキ、ウナギのかば焼き、赤身の肉など亜鉛を多く含む食品を食べるようにしましょう。
ビタミンD
胃の切除により、食事に含まれる脂質の消化・吸収が悪くなり、脂溶性(油脂にとける)ビタミンであるビタミンDの体内への吸収も低下します。
ビタミンDは小腸からのカルシウムの吸収を高めるので、カルシウム同様に積極的にとりたい栄養素です。
ビタミンB12
鉄と同様に貧血予防に重要な栄養素です。胃を切除することで消化・吸収はしにくくなりますが、ビタミンB12を多く含む魚介類をとり入れて、栄養バランスのよい食事にしましょう。
食事で不足する場合は薬が必要になります。
鉄
胃切除後はビタミンB12の吸収が低下して貧血になりやすくなります。貧血を防ぐために、鉄を多く含む食品(特に赤身の魚、牛肉やレバーなど)を食べましょう。
肉・魚・卵などのたんぱく質食品は鉄の供給源になります。また、鉄の体内への吸収を促すビタミンCを多く含む野菜やくだものも適度にとりましょう。
食事で補いきれない場合は鉄剤が投与されます。