元冷蔵庫エンジニアは大忙し
定年後は神主さん、そして今は傾聴ボランティアで奔走中
「ダヴィンチ」で胃3分の2切除
平成25年11月下旬のある日、冷たいものが違和感なく食べられることで、食べ物の好みが変わったことに気づいた。それまでの私は、食べ物の温度に敏感で、料理はいつも同じ温度に温めて食べていた。また、仕事上の納得できないことがあって、どう対応すべきか悩んでいたところ、数日間、腹痛が続いた。おかしい?
私の腹痛は普通3日くらいで治まるのに…。胃カメラの検査を受けたところ、「胃がん」が判明し、早急に他の病院で診てもらうことになった。
新聞社系の雑誌を見て、愛知県で手術件数の多い藤田保健衛生大学病院を受診することにした。名医の宇山一朗医師の診察を受け、家族と相談し「ダヴィンチ」によるロボット支援手術(当時は全額自己負担)でお願いすることにした。
平成26年4月2日、ビルロートⅠ法で幽門側を3分の2切除する手術をした。ステージⅠAで術後の経過もよく、抗がん剤の服用の必要はなかった。7日後の4月9日に退院した。退院後は、再びがんにならないよう関連書籍を読み、豚・牛肉は6ヵ月を過ぎてから少しずつとるようにした。
試行錯誤しながら、自分の体調と食べた物などを少量ずつ確かめながら、できるだけ普通の生活に戻れるようにと心がけた。
私の日常健康法
現在は次のような日常生活である。
- 毎朝夕にリンゴ、キャベツ、緑黄色野菜を加えた新鮮なニンジンジュースを作り、コップ1杯分飲む
- 食事は30分かけてよく噛んで食べる
- 食後30分はゆったりと過ごし、20分の昼寝をする
- 新谷(しんや)酵素6錠、エビオス10錠、ビオフェルミン3錠、無臭・生にんにくのめいらく「アホエン」1錠を飲む
- NHKテレビ「ためしてガッテン」などで紹介されたインターバル・ウオーキング(普通歩き、ややきつい早歩きを各3分、交互に5回計30分行う)を週4回励行
- 栄養補給ができ、腸内細菌の餌となる煎った米ぬかを食後匙1〜2杯食べる
- 週1回、楊名時(ようめいじ)健康太極拳の教室に通い、体の柔軟性やバランス感覚を鍛える
- 月1回、森信三著「修身教授録」の読書会に出席し、さまざまな生き方を学び、また、その時々の自分の悩みも話して助言を受ける。精神的にとても役立っている
- 「名古屋アルファ・クラブ」の会合で体験談を聞く
以上のようなことを行って、術後2年半余が過ぎた。振り返ってみると術後6ヵ月、1年、2年と時を経る毎に、実に少しながら胃のないことに身体が対応し、回復してきていることを実感した。友人たちから異口同音に元気になったねといわれた。
傾聴ボランティアに専心
私は大学の工学部を卒業後、電機メーカーのH社に入社し、冷蔵庫の設計、設計業務の合理化などを担当した。60歳の定年前後に、神職の資格を伊勢市の皇学館大学などで取得した。定年後は週に6日神社に奉職し、各種御祈祷(きとう)、例大祭、結婚式、それに外祭(がいさい)といわれる地鎮(じちん)祭・新居祓いなどを15年間行った。
一方、地元で9年間にわたり、福祉委員となってボランティア活動をした。その体験から、一人暮らしの高齢者が話し相手を望んでいることを知り、「傾聴ボランティア」が必要なことがわかった。
平成20年に地元で傾聴ボランティアグループが発足し、私は役員となった。会則の制定、会員の募集、会の基礎固めに尽力した。この活動は現在も続いており、デイサービスセンターなどを訪問して高齢者のお話をお聴きするとともに、人間関係を良くすることにも役立った。
平成28年からは傾聴講座の講師として本格的に活動し、この年だけで6回担当した。その内容は常に受講者に合わせて、新しい事項を追加、変更して講座を進化させながら臨んだ。おかげさまでいずれの受講生からも、聴いて良かったとの感想をいただくことができた。
快腸だったクルージング
海のクルーズ旅行はかねてからの念願であったが、平成28年6月3日から家内とイタリアのベネチア発アドリア海・地中海・エーゲ海11日間の旅に参加した。天候も良いときで、ゴンドラの乗船、ベネチアのサンマルコ広場、サントリーニ島、古代オリンピアの遺跡、アテネのパルテノン神殿の見学など7日間のクルーズの旅を満喫した。
私たち夫婦は、高齢および胃を切除した者として、旅行前の日常生活では食事時間・睡眠時間を厳格に守っていたのが良かった。これからも、このような深夜便での乗継を含め、計20時間のフライトのような長距離の旅行に参加するときは、周囲に惑わされることなく、食事時間は可能な限り通常の生活に近づけ、夜はひたすら眠ることに気をつけたいと思っている。
百歳目指して頑張る
私には長女、長男の2人の子どもがいるが、それぞれが2人の子どもを持ち、横浜、大阪に住んでいる。孫がまだ乳児の頃は夫婦で何かと手伝いに行った。今でも孫の発表会や七五三のほか、応援要請や招待のあるたびに出かけているが、会えるのは盆と暮れである。
平成30年に私たち夫婦は、金婚式を迎えるが、家内は私のために毎朝夕のジュース作りや胃を切った私の体調に合った食事作りをずっと続けてくれており、感謝感謝である。
胃の手術時には全身のチェックを行い、気がつかなかった病も見つかったが、これらの病気を経過観察しつつ、わが家の家系図や、自分史の作成、写真の整理を予定している。
百歳まで元気に生きようと決心すると、そのための情報に気づくことが多く、とても役に立っている。今後は人のお役に立つ傾聴ボランティアなどを続け、孫の成長や家内との旅行も楽しみたい。同時に再びがんにならないための「精神の安定」「正しい食事」「適度な運動」を心がけ、認知症にもならず、百歳を超えても、なお元気に生きていこうと考えている。
(愛知県岡崎市)