⑴なぜ癌になるのか 「多段階発癌と生活習慣」


はじめに

昭和57年4月、胃切除後の後遺症対策を目的として「医師と患者の話し合い」「患者同志の助け合い」をモットーに、アルファ・クラブが創設された経緯、そしてこの22年間余にわたって毎月1回の会報の発行や節目節目のイベントなど、さまざまな活動を介し、個人会員4,400名、病院会員3,742施設(平成17年1月現在)を擁する会に成長してきたことついては、本紙のみならず、他の媒体でも機会あるごとに紹介されてきました。

会員の皆さまからのいろいろな情報を適切にまとめてお伝えするのは、本会の重要な役目の一つですが、さらに、アンケート調査による大勢の方々の体験やご意見を、本会の会員にはもちろん、多くの胃切除者やこれから手術を受けなければならないかも知れない人々にお伝えすることは、特に重要な役割であると考えております。

今回は、これまで実施してきた「後遺症」中心のデータから少し遡り、「病気発見のきっかけ」、「そのときの体調」、「告知」や「セカンドオピニオンの利用」といった、術前についての最近の動向もうかがいました。

また、対象を術後3年以内に絞り、「後遺症」など、術後のさまざまな新しい経験に最もさらされるこの時期に、患者さんご自身の対応と医療者を含めた周囲の人たちの対応はどうかといった、これまでのアルファ・クラブになかった視点からもご意見をうかがいました。

今月号から何回かにまとめてご報告していきたいと思います。

アンケートの概要

回答者の背景

平成16年5月14日現在で、術後3年以内という条件に該当された会員371名の方にアンケートをお願いし、約1ヵ月余の間に319名、実に85.9%の方々にご回答をいただきました。この種のアンケート調査としましてはすばらしい数字であり、ご協力にまず感謝いたします。

地域別の回答者数(表1)は関東地方が約半数を占めていますが、半数は北海道・東北、中部、近畿、中国・四国、九州に広がっており、ほぼ全国的な意見が集約できるのではないかと期待しています。

表1

胃癌は男性に多い?

回答者の病名(表2)は、胃潰瘍2名、十二指腸潰瘍穿孔2名の3名を除き、胃癌、食道癌、悪性リンパ腫、胃腫瘍として登録されており、いわゆる「癌」であります。

表2

性別は男性207名、女性112名、計319名であり、男女比はほぼ2対1です。従前からいわれてきたように男性が約2倍になっています。しかし、年齢層別(図1)で、55歳以下をみますと、男性40名に対し女性37名とほぼ同数です。これは以前から指摘されてきたことですが、比較的若年者では男女差なく「胃癌」に罹患することを示しており興味深いデータであります。

図1

逆に、なぜ高齢になるほど男性の罹患数が増え、女性の2倍にまでなるのか??。

これは、「胃癌」も生活習慣病であり、男性がいかに癌になりやすい生活習慣を積み重ねているかを物語るものと解釈できます。

近年では「癌」の多段階発癌説がほぼ証明されつつあります。発癌に関連する複数のDNA(遺伝子)が、世代が進む間に順次「傷」を受けて発癌するとの考え方です。たとえ親の代では発癌しなくても、その手前まで受傷が進んだDNAを受け継いだ子孫から発癌するという説です。この結果、次世代の若年発症の癌は、ある意味で親の責任が大きいと考えられるのです。

しかし、50歳以降の発癌は、本人が「悪い生活習慣」を続けていた結果であり、本人の責任と考えられるのです。

発癌に関連する「悪い生活習慣」については、別の機会にお話ししたいと思いますが、典型的なものは喫煙や過度の飲酒、食事習慣などです。

図2に回答者の術後経過年数を示しましたが、ほぼ全体像と同じく、男女比は2対1となっております。

図2

アンケートの内容

今後の展開

はじめに述べましたように、今回のアンケートでは、通例の後遺症関連の質問のほか、①病気発見のきっかけ、②そのときの体調、③告知とその心境、④インフォームド・コンセント、⑤セカンドオピニオンの利用、⑥後遺症や術後に関する担当医の説明、⑦栄養士と栄養指導の実際、⑧入院時の看護師の対応、⑨術後の経過、⑩最も悩まされている後遺症、⑪現在の主治医に対する満足度、⑫将来に対する自信、⑬サプリメントの利用の有無……等についてご回答をいただいております。

通り一遍の解説ではなく、各回ごとにメリハリのある解説をつけたいと思っておりますので期待してください。あらかじめご要望などありましたらお知らせください。できるだけ解説の中で取り上げさせていただきます。

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