田原 誠史郎さん(64歳)

脳腫瘍の手術は2年後に…

九州の出身。34歳のときに千葉大で胃がんの全摘手術を受ける。35歳でカナダに移住し、ガーデナー(植栽師)となる。3 年前にカナダで脳腫瘍を手術。(新橋駅SL広場)

九州の出身。34歳のときに千葉大で胃がんの全摘手術を受ける。35歳でカナダに移住し、ガーデナー(植栽師)となる。3 年前にカナダで脳腫瘍を手術。(新橋駅SL広場)

カナダ在住の会員・田原誠史郎さんが、今年の2月、ガーデナーの仕事の休閑期に訪日した。当初の目的は日本での咽頭(いんとう)と大腸の内視鏡検査だったが、日本では自由診療となり、高額なので断念せざるを得なかった。カナダでは、CTやMRIなどの検査は、病気になってからでないと受けられず、待機者も多いという。

カナダではメディケアという皆保険制度がある(夫婦で月1万3千円くらい)。医療機関を利用するには、まず地域のファミリードクター(家庭医)を受診する。しかし、この家庭医は少なく、予約を必要するところもある。専門医に診てもらうにはここから公立病院を紹介され、医療費は無料だが待機患者が多い。

CT、MRIなどの機器は極端に少なく、検査はかなり待たされ、病気の進行が心配だという。この医療制度に不安な人や富裕層は民間の高額な保険に加入する。

田原さんが頭痛に悩まされ、脳腫瘍の手術を受けたのは受診してから2年後で、3日後には退院させられた。しかし、術後2ヵ月で髄液(ずいえき)漏れで再手術、2時間後には退院させられ、その早さに驚く。今は片耳が完全失聴、顔面のひきつりなどの後遺症がある。こんな体験から日本の高度機器の利用、皆保険制度がうらやましいという。

ワンダフルな日本

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(左写真)新橋の老舗そばやを背に。後方ビルに本会事務所がある(右写真)久々の日本そばに舌鼓

7年前に来日したときは、夫婦で北海道から九州まで1週間の旅行をした。今回は江の島周辺、浅草、築地など関東周辺を観光。もともと歩くのは好きで、体力には自信がある。

「日本に来て気づいたのは、街が清潔。コンビニには何でもあり、おいしい。交通機関も便利」と休日を満喫している。

「カナダの食料品店では、みそ、しょうゆなど日本製が入手できて不自由はしない。私は刺身が好きだが、魚の種類がわずかしかない。日本からの輸入品が多く、価格が高いので口にすることは少ない。日本は種類が豊富で安くて良いですね」という。カナダに移住した当初は、魚のトレード(貿易)を10年経験していただけに、見る目が違う。

今の仕事については、「夏は30℃と暑くて大変。胃や脳腫瘍の後遺症を克服しながら働いている」。娘さんの一人はトロント大学の博士課程を卒業して、今はトロント王立学院で若い音楽家の指導している。

田原さんは、「カナダの自然はすばらしい。だが昔、訪れた北海道での風景が瞼(まぶた)に焼き付いていて、日本での生活の夢を見ることがある」と、老後は日本の住み家も模索している。