絶望の淵からよみがえった私

青木先生のアドバイスを実践し、ゴルフも復活

術後は歩くことができず

絶望の淵からよみがえった私

平成26年4月上旬、妻にフラつく足元を心配されながらも、水戸から無事、上野行きの電車に乗りました。娘がインターネットで探してくれたアルファ・クラブ顧問医師の青木照明先生に診ていただけることになったのです。

当時は吐き気や嘔吐と、強い倦怠感に苦しみ、歩ける日と歩けない日が交互にはっきり分かれていました。その日はゆっくりですが、運良く歩けたので1ヵ月前にしていた予約を変更せずに行けるとホッとしました。しかし、心の中では元気になれる期待は全くありませんでした。

私は定年まで、茨城県庁に勤め、主に昭和40年代以降の高度経済成長時代に、工場団地や地元商店のショッピングセンター建設など、中小企業の振興のために多忙な毎日で、病気には無縁でした。退職前にピロリ菌の除菌をし、これで胃がんの心配はなくなったと安心していました。

平成24年12月、70歳のとき、胃カメラ検査で幽門側に胃がんが見つかり、水戸市内の大きな病院で、口から内視鏡カメラを入れてESD手術を受けました。しかし、がんは下層まで達しており、翌月の平成25年2月に腹腔鏡手術で胃の3分の2を切除しました。

術後8ヵ月過ぎた頃から、吐き気が強くなり、最初は5日間、次に9日間、その次に13日間、最後に35日間と半年間に4回の入退院を繰り返し計62日間入院しました。入院のたびに症状が悪くなり、入院期間がどんどん長くなりました。治療は点滴と吐き気止めの坐薬で、食事は普通のご飯と時にはなんと天ぷらの出る献立でした。

病院からの脱出

担当医は「これまであなたのような患者さんは見たことがない。どこにも問題がありません。点滴は水のようなもので気休めです。いつでも退院してください」と、私の苦しみは聞いてくれず、完全に見放されて絶望的になりました。さらに2度も心療内科を受診させられ、これは私を精神的に異常な患者と見ていたからだとあとで気づきました。私も妻もここを抜け出さないと助からないと思い、最後の入院中に「東京にいる下の娘の急用のため」という理由で外泊許可を取って青木先生に診ていただくことが叶ったのです。

青木先生からは苦しくなる原因と今後の治療と対処法について次の指導がありました。原因は「胃の代わりをしている腸が袋状に膨らみ、そのあと食べ物が逆流して苦しくなるのです」。治療と対処法は「1日の食事量を半分にして、それを5回に分け、ゆっくりよく噛んで食べ、消化酵素薬を服用する」「不足するカロリーや栄養素は栄養補助食品で補う」「食べるだけでは体重や体力は回復しないので常に運動を欠かさないこと」。これを3ヵ月続ければ回復しますと励まされました。次の日には退院し、青木先生のアドバイスを妻に叱られながら、実践に移しました。

強い味方のステップボード

特に注意したのは食欲が出ると油断して食べ過ぎること。ご飯は調理用のはかりで毎回50g以下を守りました。これは栄養補助剤のエンシュア・リキッドなどで栄養が十分にとれているという安心感が助けとなりました。1日も欠かさず、エンシュア・リキッドとラコールを1本ずつ9ヵ月間毎日飲みました。コツは下痢しないように水で薄め、1回の飲む量を少なめにすることです。

ステップボードでの足踏み運動は徐々にボードを踏む分数を増やしました。毎回5〜10分継続し、午前午後と各5回続けるのは相当の気力が必要でしたが、自分ながら、よく耐えたと思います。というのも好きなゴルフを再開したい一心からでした。こうした治療のおかげで3ヵ月といわれた回復が2ヵ月に早まり、青木先生から驚きと喜びの言葉をいただきました。

強い倦怠感、重い腹痛感、脚の脱力感、めまい、不眠などの症状を忘れてしまうほど、そのつど先生に助けていただいて元気を取り戻し、感謝に堪えません。

手術をして5年7ヵ月がたち、お酒の酔いは早くなりましたが何でも食べられ、ほぼ手術前に戻り、前立腺のPSA値も正常です。これからも散歩を続け温泉に入ったりして現在の体調と生活を維持できるよう努力していきたいと思っています。

病気の問屋

私は胃の手術のほかに69歳で前立腺がん手術、冠動脈の狭窄によるステントグラフト内挿術、71歳のときの腹部動脈瘤でステントグラフト内挿術など3年間に集中して手術と治療を受けました。青木先生には、胃ばかりでなく、これらの病気について診察のたびに心配をいただいています。

特に指導されていますのは常に血圧に注意すること。それは腹部動脈瘤、冠動脈への影響があるからです。2つ目は体重を増やさないこと。体重増は食べ過ぎにより、食べ過ぎは塩分をとることになり、血圧を高くするからです。3つ目は欠かさず運動をすることで、この遵守事項は一生続けるつもりです。

私は体を動かすことが好きなので苦になりません。毎日50分のウオーキング、部屋や風呂掃除などの家事、庭の草取りなどの庭の手入れ、どれも妻にほめられるのがうれしくてまめに体を動かしています。

ゴルフは万病の薬

ゴルフは失敗ばかりの悔しいスポーツです。失敗を減らすには練習しかなく、私にとってこれほど体に良いスポーツはありません。私が最近感動したゴルフの一場面を紹介します。

今年4月に三重県で開催された男子プロゴルフの最終日の残りわずかのホールで、日本人選手がチップインバーディして1打リードし、優位に立ったのです。しかし、次のホールのティグランドでリードされた韓国人選手が日本人選手に近づき、グータッチして祝意を表わす場面が映されました。

このシーンを見て私は驚きとともに感動しました。このあと2人のプレーオフで韓国人選手が優勝したのです。相手をほめる心の余裕が優勝をもたらしたに違いありません。

このあと、私はコースに出るたびに仲間の少しばかりのナイスプレイに反応して、ナイスショットなど大声で仲間を喜ばせています。その割に私のゴルフはうまくなりませんが、高齢者仲間の健康と世の中を少しは明るくすることに役立っていると信じてゴルフを楽しんでいます。

((茨城県水戸市))