抗がん剤を服用、温泉巡りで体力回復

20年ぶりの胃カメラ検査

1日に胃がんと前立腺がんの告知
  人間だれでも「ぴんぴんころり」の健康長寿を送りたいと考えていると思います。全国には元祖○○ラーメン、元祖○○という元祖がありますが、私の住んでいる佐久市には、元祖ぴんころ地蔵というのがあり、私もこの地蔵の恩恵にあやかりたいと何度かお参りをしました。そして市の健康診断も毎年受けて健康には注意していました。

  胃の検査は、20年くらい前に一度胃カメラ検査をしたときに苦しくてつらい経験をしましたので、以後、ずっとX線バリウム検査にしていました。

  65歳のとき、浅間総合病院で健康診断を受け、2〜3週間後に結果報告書が来ました。それは、胃体中部変形と前立腺の数値が高いという結果でした。以前の胃カメラ検査では「異常ありません」といわれていました。たまに胃もたれ感はありましたが、素人考えで胃のことも前立腺のこともあまり深刻に捉えていませんでした。

  年齢のことも考えて、前立腺も胃もしっかりと検査してもらおうと思い、医師に相談し、検査を受けました。前立腺は検査結果が出るまで1〜2週間待たされましたが、泌尿器の医師から「前立腺がんです」と告げられ、ショックでした。「前立腺は55歳を過ぎたら検査しないとだめですよ」と少々叱られました。

  胃カメラ検査の結果は、その約1時間後くらいにそのときの主治医の松本先生(女医さん)から「がんです」と告知されました。松本先生から「驚かないですか」と聞かれましたが、1日に2つのがん宣告をされたため茫然自失となり、言葉が出てきませんでした。

同日に2つのがんを手術

ばらくしてから「胃を残しておくと再発の恐れがあるので全摘します」といわれ、手術することになりました。泌尿器の医師と松本先生が話し合ったようで、「前立腺の手術も体力のあるうちにしましょう」と胃の手術後、前立腺を手術することになりました。1日に2つの手術を受けて、先のことを考えると不安になりました。家に帰って妻に伝えたところ、妻は平静のようでした。私は現実を受け入れてポジティブに考えるようにしました。

  術後しばらくしてから痰が出始め、背中に鋭い痛みが出てきました。同時に眠れなくなり、集中治療室の時計とにらめっこしながら症状と闘ってきました。集中治療室に入って2日後くらいに看護師さんから「少し歩いてください」といわれましたが、寝た状態から身体を起こすのが大変で、歩こうとしてもふらつき、変な感覚でした。今思えば集中治療室での30時間がとてつもなく長く感じられました。

  一般病棟に移ってからは尿道管も取れて自分でトイレに行けるようになり、楽になりました。

  手術後2週間で退院しましたが、新しい主治医の池田先生から自宅での療養について、「念のために抗がん剤を朝夕食後に2錠飲むというパターンを、1年間続けましょう」と指導を受けました。抗がん剤を飲み始めてからは食欲がなく、体重も減りました、食事をするのがおっくうになり、何とかバナナやパンなどを食べましたが、1年間で体重が約15㎏減り51㎏になりました(現在58㎏)。

  病後の人は温泉に入ると回復が早いという話を思い出し、術後2ヵ月くらいたってから温泉に行きました。幸い、私の住んでいる近郊には温泉施設が何ヵ所かあり、時々、行きました。特に私が気に入った温泉は八ヶ岳の東側、松原湖の近くにある八ツ峰の湯の露天風呂でした。その露天風呂に、800年くらい前のいにしえの火山活動でできた大きな噴火口を見ながら、のんびりとつかっているときが一番身心が安らぎ、癒やされました。ほかに胃腸病に効くという温泉にも行き、体力の回復に努めました。

  退院の際、池田先生から「散歩もするように」といわれ、家で胃の調子がちょっとおかしいというときには「アメをなめると良いですよ」とアドバイスをいただき、実際、効果があり助かりました。散歩は退院してから6ヵ月後くらいから週5回、8千歩前後ずつ歩いています。

自然に癒されながら暮らす

宅の東側に浅間山、西側に蓼科山と八ヶ岳連峰がそびえ、その八ヶ岳の中腹には小惑星イトカワの探査に向かって行方不明になったはやぶさを見つけて、地球に誘導して無事帰還させたJAXA(宇宙航空研究開発機構)の大きなパラボラアンテナも見えます。

  散歩は西側に向かって行きますが、空気の澄んだ10月の午前中には北側に槍ヶ岳を中心に雪を被った北アルプスが見え、浅間山を見ながら帰ります。雄大な眺めです。

  冬は山々の雪景色、春は4月頃からウグイス、カッコウなどの鳴き声、初夏はカエルの合唱を聞いて四季の移ろいを感じながらの散歩です。夏にはキュウリ、ナス、トマトなど数種類の野菜を毎年つくり、収穫が楽しみです。

  手術をして5年7ヵ月がたち、お酒の酔いは早くなりましたが何でも食べられ、ほぼ手術前に戻り、前立腺のPSA値も正常です。これからも散歩を続け温泉に入ったりして現在の体調と生活を維持できるよう努力していきたいと思っています。

(長野県佐久市)