高齢者介護予防教室に生きがい

告知されて心を切り替える

人生、楽ありゃ苦もあるさ

平成22年6月8日、61歳の誕生日に胃癌の告知を受けました。当日、息子夫婦が私の誕生祝いを予定してくれていましたが、これが緊急会議となってしまいました。誕生日の1ヵ月前、久し振りの健康診断の結果、血清鉄、赤血球、血色素、ヘマトクリットの値が正常より低く、消化管出血の疑いもあるため、胃カメラの検査をすることになりました。結果は胃癌でした。

血液検査のつい2週間前には、登山に行き、また、「南京玉すだれ」の施設訪問をしていたほどで、突然の胃癌告知は信じられませんでした。退職前は、在宅支援事業所のケアマネージャー、看護師をしていたこともあり、医師には「検査結果が癌であったとしても、私自身に告知してほしい」と伝えていました。告知された瞬間はショックでしたが、大して動揺もなく、癌なら手術して、一日も早く元気になり、好きな南京玉すだれ、オカリナ、マラソン、登山ができるように頑張るぞ…と心のスイッチを切り替えました。

7月20日、高崎総合医療センターで手術。胃を全摘、胆のうも切除しました。幸いリンパ節への転移はなく、ステージⅠAの早期胃癌でした。抗癌剤や放射線の治療もなく、現在に至っています。入院中に不安だったのが体重減少でした。入院前の57㎏から49㎏に。先生からは、手術後は誰でも体重が減るものだから心配しないようにといわれましたが、体重計に乗るたびに、減少が著しく、体がふわふわして宙に浮いているようでした。

思い出の釜揚げシラスどんぶり

術後1年くらいは、腹鳴、ガスに悩まされました。消臭パンツを使ってみましたが、1時間くらいたつと腹部が苦しくなるので、やめました。時々、冷や汗、つかえ感、めまいなどのダンピング症状も起こりました。消化の悪いキノコ、海藻、コンニャク類は食べないようにし、それ以外はゆっくり噛むことで、ほとんど食べられるようになり、腹鳴、ガスも落ち着いて来ました。

手術後45日目に娘の友人の結婚式があり、私と娘家族も湘南に同行、釜揚げシラスどんぶりに舌鼓を打って「おいしい!おいしい!」を連発。ところが、胃全摘後ということを忘れ、周りの食べる勢いにつられて半分ほど食べたところで、つかえてしまい、目から涙、苦い唾液が込み上げ、初めて地獄のような苦しみを味わいました。

でも、孫たちの「ばーば、今度は食べられて良かったね」の言葉に励まされました。

生きがいの「南京玉すだれ」

は現在、オカリナ、南京玉すだれのほか、高齢者介護予防教室の講師をしています。そこで筋肉トレーニングと同時に教えている介護予防体操のおかげで、私自身も健康になり、教室での高齢者の笑顔にパワーをもらっています。また、「さて、さて、さては南京玉すだれ」の口上から始まる南京玉すだれを始めると、会場の方も一緒に手拍子と掛け声で盛り上がり、皆が笑顔になります。始まる前は緊張で胸がどきどきしますが、終わると元気が出て、生きていて良かったなと幸せを感じます。

そして一緒に笑ってくれる皆さんの笑顔に泣き、また、親孝行もできずに亡くなった父母の顔が会場の皆さんと重なり、生きていれば一緒に笑って楽しんでくれたのではと思い出し、これが私のバイタリティーと生きがいになっています。

平成21年には、孫とハワイ・ホノルルマラソンを完走しました。もう一度、参加したく、無理のない目標を立てています。疲れたら休むことを念頭に置き、毎日、体力づくりに励んでいます。

私には、身近に2人の胃癌の先輩がおり、その方たちがアルファ・クラブの入会を勧めてくださり、困ったときには貴重なアドバイスをいただたいております。また同時に会報を参考にし、それでも不安なときには、主治医に相談しています。

オカリナの力

じけそうなときは、術後7日目に先生の許可を得て、病院の屋上でオカリナを吹いたときのことを思い出しています。曲は私の大好きな『アヴェ・マリア』です。オカリナは術後の肺活量の強化に効果があったのと、指を動かすことが脳の活性化につながったようです。

入院生活が楽しくなっていったあの日の感動を思い出し、水戸黄門のテーマ曲にある「人生、楽ありゃ苦もあるさ」のとおり、何事もポジティブに考えています。夢を持ち続け、目標に向かって努力し、ゆったりとした気分で過ごしていこうと思います。

今、こうして元気を取り戻して、一人暮らしをしていられるのも、主治医の先生、子供たち、友人の温かい支えがあったからこそと、心から感謝しています。